こんしお〜。どうも、しおのです。クー・シーが一瞬で好きになってしまったのでなんか勢いで一夜で短編小説執筆しました。約2700字です、メンテとかで暇な方はどうぞ。良かったらチャンネル登録、高評価、通知をオンにお願いします!(違う)
あ、事前情報にないことオリジナルで足してるのでそこの設定が気になる人は注意ね。
「なんだここは。誰も信用ならねえから安全が守られてるっつーこのコンパスって世界に来たってのに……」
ジジッジジジ
ガガガピッ
「なんでバグどもが呑気にほっつき歩いていやがるんだよ。あいつもオレのこと騙しやがって。許さねえ許さねえ許さねえ!ああもういい!オレだけ生き残ればいい…いくぞブレードニャーク!雑魚どもは全員×す、×す!逃すわけねえだろ?」
⚪︎⚪︎⚪︎⚪︎はつっぺる工事現場を駆ける。工事現場といっても、AIにより自動化された機械が勝手に動いているだけ。現在はバグ発生により工事は中断されている。ここにあった建物はもう戦いで跡形も残っていない。
「ったくセキュリティはどうなってんだ!穴だらけじゃねえか。雑魚がうじゃうじゃ出てきやがる。管理者はVoidollか。ロボに管理させてどうすんだよ、言われたこと以外何もできねーのによ。雑魚どもに手厚い歓迎されるこっちの身にもなれっての。とはいっても嘘ばっかつく人間の方がまともにできねえがな。……まずい、囲まれてんな、クソッ」
カチッ
「な、にっ……!しまった、ドラゴン花火……!あいつ罠まで…あああぁぁぁ!!!」
オレの人生はこんなので良かったのだろうか。などと後悔する間もなく爆発に直撃し意識が落ちていく。グッバイ、オレの命。グッバイ、ニャーク。来世はもっとマシな世界にしてくれよな。
…
…
…ピ
…ピピ
…ピピピピピピピピ
「……ぶか……い、大丈夫か!」
「んぁ?んん……なんだ……」
気がつくと見知らぬ建物にいる。ここは天国…じゃない、治療施設か?そこらじゅうに救急セットが散乱している。出入り口にはVoidollに似た警備ロボもいるようだ。
「オレなんで生きてんだ?ドラゴン花火でやられたはずじゃ……」
「私が治療したんだよ。あと少しで存在が消えるところだった。どこにでもいけるドアで間に合ってよかったよ」
「……誰だテメェ」
「あ、ごめん。私は……」
この世界の住人であることを伝える。
「ワケあってA.D.D.F.の司令官を務めている。この辺りは治安が悪くてね、遠くから見張ってたんだが1人で歩いている見慣れない君を見かけて。そしたら爆発音と共に空中に飛んでいくもんだからびっくりして助けに行ったんだ。君は何という名前な」
「うるせえ!!名前を聞くな!!ケホッ」
ガタンとベッドを叩く。あいつにつけられた名前なんて思い出したくもない。しかし怪我を負った身に力は入らない。
「ああいや、すまない!もし何か事情があるのなら聞かない。でも君のことを呼べないのはちょっと困るなあ。うーん、じゃあ仮に…クー・シー。クー・シーってのはどうかな?」
「クー、シー……」
Cu Sith。伝えられるところによると妖精達の番犬で、単独で放浪し妖精を守るためならば人間を襲うこともあるという伝説上の生き物だ。
「ハッ、いい名前じゃねえか。お前もオレのこと野蛮で危険だって思ってんのか?ああいいさ、今からでもお前を」
「そんなことはない、聞いてくれ!」
「!?ちょっ、そんな顔近づけんなよっ、恥ずかしいだろ……!」
なんだこいつ、司令官のくせに距離感間違えすぎだろ!こんな姿になってなけりゃ一瞬で脳天をブチ抜いていたところだぞ。
「クー・シーという名前は咄嗟に思いついただけで似合ってると思ったんだけど……ごめん。気に入らないなら別にいいし、私のことを信頼しなくても構わない。ただ、バグに対抗する勇猛果敢な姿を見て……」
「………………」
どうせ頼りになるから助けて~とかA.D.D.F.とかいう組織に入れ~とか言うんだろ?もうそんな言葉は聞き飽きた。信じるに値しない。最後には必ず裏切る。結局どいつもこいつもそういう奴なんだ。
「君を好きになったんだ」
「は……!?」
なんだこいつは!こんなディストピアで目を覚ましたかと思ったら突然告白してくんなよ!
「すすす好きだと……!だまれだまれだまれ!」
頬を赤らめポカポカと力無く殴るも司令官の目は力強く輝いている。
「?だって君を好きじゃないと助けようと思わないだろう?いやあ何とかなって良かったよ~。つっぺるってあんなにバグだらけだったかなあ?あとで報告書書かないと……」
「うぅぅ~~~~~~」
恥ずかしすぎて言葉が出てこない。しかし告白をしたとも思っていない司令官は何事もないかのような顔で続ける。
「そうだ、それともう1つ。サメ?猫?みたいな生き物も君の隣で戦っていたから助けたんだが……」
「あ……ニャーク!!ニャーク!!!!!」
どうしてこんな大事なことを忘れていたのか。ニャークは絶対に守らなきゃ。ワープ攻撃で声を出す間もなくクソ人類を×してくれたニャーク!クソ人類に裏切られても必死で守ってくれたニャーク!力がうまく入らないがそれでもいつまでもベッドに寝ているわけにはいかない。無事なのか!?今どこにいるんだ!助けなきゃ!
「ああ、まだ起きるんじゃない!簡単に治る傷じゃない。ニャーク、というんだね?今は隣の部屋で治療を受けているよ。今は大事には至っていないがニャークもひどく傷ついていた。君が意識を失っている間もシールド形態で君のことをバグから守っていたよ。しばらく私も警戒されてしまったがね。とにかく体が治るまではゆっくりしてもらって構わないからね」
「あ、あぁ……そう、か……うわぁぁぁぁん」
ほっと胸をなでおろす。ニャーク、ニャーク。名前を呼ぶたび涙が自然と溢れ出てくる。人前で泣くなんて初めてだ。ニャーク以外にこんな優しくされたことがなかった。この世界にも良い奴っているんだな。
「……誰かも知らねえオレとニャークを助けてくれたんだ。この恩は一生忘れねえ、ありがとよ、司令官」
「どういたしまして。喉乾いたかい?エナジー缶持ってくるね」
「ああ、助かる…っておい、100000mlも飲める訳ねえだろ!普通のサイズもってこい!」
……
……
……
「ガピッ、テンコノジカンデス!カクジナマエヲ」
「A.D.D.F.偵察部隊所属、プーカ」
「A.D.D.F.特別警備部隊所属、レプラコーン」
「……A.D.D.F.強襲部隊所属、クー・シー」
「ミナサンイルヨウデスネ。デハ、キョウモジンルイノミライノタメニ、コンパスノヘイワヲマモッテクダサイ」
「あぁ?人類の未来なんて知るか!」
司令官からもらった絆創膏をつけた顔でにやりと笑う。
「オレと司令官だけ生き残れば良い。いくぞ、ニャーク!」
ああ、今日も司令官と行動できるなんてなんていい日だろう。ここの住民なんてどうでも良いけど、コンパスに来て良かった。司令官に出会えて良かった。これからもずっと司令官と一緒にいられますように。
(終)